その恋、連載にしてやるよ〜人気作家に溺れていくなんて、聞いてません〜
鋭い視線が、真っすぐに私を射抜く。

口角をほんの少しだけ下げて、彼は言った。

「専任だぞ。……人気作家の。」

その言葉は、私の胸の奥に、ずしりと沈んだ。

専任――神堂慧の。

その意味は重い。

きっと私は、彼の言葉にも態度にも、心を振り回される。

でも、もし書かせることができたなら。もし、彼の言葉に火を灯すことができたなら。

私はきっと、編集者として一段上の場所へ行ける。

だけどこの時の私は、まだ知らなかった。

“書かせる”はずが、“書かれる”のは自分だったことを。

廊下を歩いていると、耳に入ってきたのは、よくある噂話のトーンだった。

「聞いた?岸本、あの神堂慧の担当だってよ。」

「えっ⁉岸本って、あの綾香先生の担当だろ?神堂先生に、ついていけんの。」

「しかも、選任だってさ。」

――ああ、始まった。
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