相棒をS級勇者に奪われた俺、スキル【力の前貸し】で勇者を破滅へ導く!~全てを負債地獄に叩き落とし、新たな魔王として君臨する!

第5話 負債

『もう死んだのか?ちっ、雑魚過ぎてサンドバックにすら――』

『きっと喜んでいるはずだわ。ほら、相棒を食べてずっと一緒に――』

嫌な記憶が腹の底を煮えくり返らせる。
相棒――フォンが蹴り殺され、遺体すら踏みにじられた。
何も守れず、見ていることしかできなかった自分への失望。
憎悪と自責の念が、意識をぐちゃぐちゃにかき混ぜる。

「....ダメだ。一度冷静にならねぇと。」

憎しみは復讐の原動力。
だが、浸ったままでは敵に利用される。
確実にあいつらを殺すために。
冷静に――

一度、深呼吸。

「......」

頭が冷え、考える余裕が生まれる。

今、着目すべきは手に入れた()()()だ。
あの力で窮地を脱せた。
だが、不可解なことが多すぎる。

あの力はどこから?
明らかに俺の限界を超えていた。
あれは俺自身の力じゃない。
外部から引き出された力。
出所は?

力を引き出すまでの流れを振り返る。

「.....まさか」

魔力(エナジー)を得る直前、シタールが剣を落とした。
握れなくなるほどの力を失ったということ。
対して俺は、限界を超えた力を手にしていた。

つまりあの瞬間──

「俺があいつの魔力(エナジー)を奪っていた.........」

スキルの能力は、魔力奪取なのか?

一瞬そんな考えが浮かぶも、頭を振る。

「....楽観的すぎるか」

覚醒に憎しみという無茶な要求をしてくるスキルのことだ。
さっき奪ったスキルにも何か対価が....。

そう考えた途端、頭に声が響いた。

《返済期限が近づいています。本日中にお支払いただく魔力は、50です。》

50。
俺の魔力(エナジー)の二倍弱。
代償は大きいと予想したが、ここまでとは。
しかも、今日中に返済しなければならない。

..........ごくり。
思わず、唾を飲み込む。
背筋に嫌な予感が走る。

《現在の返済状況について知りたい場合は、”ステータス”オープンと唱えてください。右目にプロンプトが表示されます》

「....ステータス、オープン」

――――――――――――――――――――
リザヤ

Eランク
Lv1(永久)

魔力(エナジー) 30

5大ステータス
攻撃  8
防御  4
魔法  5
魔防  3
速さ 10

ポイント残量
MP24/33
HP37/60

負債元本 100魔力(エナジー)
本日の利子 50魔力(エナジー)
負債合計 150魔力(エナジー)
※負債の元本を返す場合、”リペイメント”と唱える。

⚠ 返済が遅れた場合の詳細は、”レイトリペイメント”と唱える。

スキル 力の前貸し new!(バンス、前借りの場合はリースと唱える。)

ランク1
  ・..........................................................
  ・............................................................
ランク2
  ・............................................................
  ・.............................................................
 ・
 ・
 ・
――――――――――――――――――――

表示されたステータスに視線を走らせる。レベルと魔力は把握済みだ。

そして──

「5大ステータス…」

概念としては知っていた。
だが、その数値は初めてみる。
数値は…全部足して30。
やはり魔力と一致する。
これらは…魔力の内訳《うちわけ》というのは本当らしい。

次にポイント残量。
MP、HP共に消費している。

そして──**「負債」の項目。
**そこに並んだ数字に、思わず息を呑んだ。

「……!?!?」

負債合計150。
おかしい。
50のはずだ。
この100は…?

「借りた魔力の元本…?」

なぜ元本が負債として計上されている?

魔力は器のようなもの。
入っている((MP))は減っても、器のサイズ事態は変わらない。

…まさか、借りた魔力は、まだ俺の中にある、と?

さらに、もう一つ見過ごせない点。
それが「利子」の高さ。
借りた魔力が100で、利子50。

「利率50%……」

しかも、「本日の利子」。
一日で50%だと?
ありえねぇ!
悪徳金貸しでも、こんな高金利は設定しない。

その下、「⚠」のついた項目が目に付く。
「払えなかった場合の詳細」。

...どんな罰が待っている?
詳細のキーワードを唱える。

「"レイトリペイメント”」

《返済が遅れた場合、前借りした相手に隷属化します。今後、その相手の命令には逆らえません。》

...前借りした相手。
つまり、シタールの奴隷。

.......ふざけんな。
奴の奴隷なんて死んでもごめんだ。

「何をしてでも絶対返す」

今はまだ3桁の負債。
しかし、この利子は一日ごとに膨れ上がる。
そして、日を追うごとに”複利”の影響は増大。
俺は背筋がゾクリと凍るのを感じた。

「......猶予はねぇ」

返済の鍵は――

「初日《きょう》に、どれだけ返せるか」

そして、今日中に多く返済するなら――

「一秒でも早く、戦って魔力を得るしかない」

だが。俺はどんなに敵を倒しても、永久レベル1。
レベルが上がらなければ魔力(エナジー)も増えない。

「どこかに抜け道は…」
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