相棒をS級勇者に奪われた俺、スキル【力の前貸し】で勇者を破滅へ導く!~全てを負債地獄に叩き落とし、新たな魔王として君臨する!
第8話 魔力の流動
「ブオォォォォォォォ!!」
仲間を盾にされたことに怒りを抱いているのだろう。
必死に俺を探している。
見つかるのも時間の問題だ。
そんな中、俺はステータスをじっくりと確認していた。
あることに気がついたからだ。
―――――――――――――
リザヤ
・
・
・
魔力(エナジー) 60(前借り30)
5大ステータス
攻撃 16
防御 8
魔法 10
魔防 6
速さ 20
・
・
・
――――――――――――
5大ステータスの合計が魔力に対応している。
つまり、この比率で魔力(エナジー)が分散されているということ。
.....魔力を特定の部位に流すとどうなるか?
おそらく、ステータスに偏りが生じる。
その偏りを応用すれば、強力な武器に変えることもできる。
魔力を一点に集中させれば、特定のステータスを大きく引き上げられるはずだ。
恐らく、王城の時も似たような現象が起きていたのだろう。
...と、ここまで考えたが、魔力を流す方法が分からない。
ステータス変動もスキルの一部なら、前貸しの発動方法と何か共通点がありそうだが。
「ッ!!?ブオォォォォォォォォォ!!!」
見つかった。
オークの咆哮が響き渡る。
その目は血走り、牙をむき出しにして、猛スピードでこちらへ向かってくる。
...相手との距離が目視で100mに。
ちょうど前借りの射程距離。
凶暴な魔物を前にすると、前借りを使用したい欲に駆られる。
だが、今回は対象が1体のみ。
前借りを使っても、相手の魔力がこちらに流れ入ることはない。
...................。
「....魔力が流れ入る?」
そうだ!
力の前貸しを使う際も、魔力は流れていた。
相手を介して。
魔力を相手に流すことで、力の貸し借りをする能力。
魔力を自分に流すことで一点に集中させ、特定のステータスを高める能力。
この2つの能力を使う際、必ず魔力がどこかに流れていた。
だから、力の貸し借りとステータス変動の根本的な能力は――
「魔力の流動か」
大本が同じ魔力の流れなら、ステータス変動の方法も――
間近に迫ったオークが鉈を振り下ろす。
ブンッ!
しかし、空を切った。
「....ブォ!?」
オークが困惑した声を漏らしながら振り返る。
その瞳が明らかに動揺していた。
(速すぎて……ついてこられないか?)
オークは目を細め、俺の足元を必死に追おうとする。
しかし、それでも間に合わない。
視線が遅れ、狙いが定まらず、わずかに鉈を振るうタイミングが狂っている。
「ステータス」
―――――――――――――
リザヤ (永久レベル1)
・
・
・
魔力(エナジー) 60(前借り30)
5大ステータス
攻撃 0
防御 0
魔法 0
魔防 0
速さ 60
・
・
・
――――――――――――
無事、ステータス変動には成功したようだ。
攻撃、防御、魔法、魔防の4つの全てを速さに前貸しすることで。
おかげて、速さが爆発的に高まった。
ブンッ!ブンッ!ブイィィィィン!!
オークの鉈が超高速で回転し始める。
本来のオークにはできない芸当だ。
やはり、前貸しでかなり強化されている。
「ブオォォォォォォォ!!!」
シュッ!バッ!スカッ!
オークの猛攻を交わし続ける。
どうやら、走力だけではない。速さのステータスを上げることで強化されるのは――
「...ゆっくりだ」
反射神経も向上し、オークの攻撃がスローモーションのように見える。
おかげで動きが読みやすい。
スッ!サッ!ビュンッ!
だが、決して油断はできない。
今の俺は、他4つのステータスを犠牲にして速さを得ている。
つまり、防御を捨てている状態だ。
相手の攻撃が一発でも当たれば即死だろう。
オークもそれを理解し始めたのか、足を止め、こちらを睨むように立ち尽くした。
「……ブオォォ……」
呼吸が荒い。
ただの獣なら考えなしに突っ込んでくるはずだが、こいつは違う。
慎重になり始めた。
(やっぱり、知能がある程度あるタイプか……)
オークはギラついた目でこちらを見据え、鉈を持つ手に力を込める。
筋肉が隆起し、攻撃の威力を増しているのが分かる。
「この次で仕留める」
そう言わんばかりの殺気が俺を包む。
ふと、相手の負債プロンプトに目がいく。
「....70.34%。」
もっと上げたいところだ。
最低でも利子142%を超えなければ、今回借りた元本の100魔力(エナジー)すら返済できない。
しかも、その142%も俺が支払う利子を度外視した場合の話だ。
実際はそれ以上にしないと、負債が膨らむ。
...改めて、今の俺にできること。
それは、相手に多くのMPを使わせつつ、利子が育つまで全ての攻撃を回避することだ。
オークの肩が上下し、息を整え始める。
全力で振り回した影響で、消耗しているのかもしれない。
「来いよ、オーク。」
「ブオォォォォォォォ!!」
オークの攻撃が再び始まる――。
.........................
............
...。
所々危ない場面はあったが、オークの大量のMPを消費させることに成功した。
だから上手くいっていると思っていた。この声が聞こえるまでは――
《MPのポイント残量が限界に近づいています。》
加速させていた足が、すぐに踏みとどまる。
だが、心臓の鼓動が嫌なほど速くなる。
MP残量 3 / 33
(やばい...!)
MPが0になれば、魔力の流れそのものが遮断される。
つまり、速度強化も維持できなくなる――即死だ。
攻撃よりは避け続ける方がMP効率は良い。
だから問題ないと思っていた。
だが、相手は格上のオーク。
MP総量がこちらより圧倒的に多いため、最終的に息切れするのは俺の方だった。
「作戦は...頓挫か」
なら、動けなくなる前に利子を。
相手のプロンプトを確認する。
「利子110%.....」
元本返済基準である142%に届いていない。
この状態で利子を回収したら、負債が増える。
......それだけは避けなければ。
(くそ...どうする?)
MPはまだ 3 残っている。
だが、もう余裕はない。
ここで無駄に魔力を使えば、それだけで死が決まる。
慎重に、しかし速く。
となると、残された方法は一つしかない。
「MPが尽きる前にオークを....!」
一度気絶させてしまえば、後は借りた時間による利子が大きくなるのを待てばいい。
とはいえ、普通に戦えばまず勝てない相手。
だから相手の虚を突く必要がある。
そのためには...何が武器になる?
これまでの奴の反応を振り返る。
そういえば、奴は俺の速さに驚いていたな。
あの反応を見るに、恐らく俺がステータス変動できることに気づいていない。
........勝てる。
奴の無知を上手く利用すれば!!
残りMP 3――使えるのは、数回の回避と火力全振りの一撃だけ。)
ダッダッダッ!!
今度はこちらから動く。
仲間を盾にされたことに怒りを抱いているのだろう。
必死に俺を探している。
見つかるのも時間の問題だ。
そんな中、俺はステータスをじっくりと確認していた。
あることに気がついたからだ。
―――――――――――――
リザヤ
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魔力(エナジー) 60(前借り30)
5大ステータス
攻撃 16
防御 8
魔法 10
魔防 6
速さ 20
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5大ステータスの合計が魔力に対応している。
つまり、この比率で魔力(エナジー)が分散されているということ。
.....魔力を特定の部位に流すとどうなるか?
おそらく、ステータスに偏りが生じる。
その偏りを応用すれば、強力な武器に変えることもできる。
魔力を一点に集中させれば、特定のステータスを大きく引き上げられるはずだ。
恐らく、王城の時も似たような現象が起きていたのだろう。
...と、ここまで考えたが、魔力を流す方法が分からない。
ステータス変動もスキルの一部なら、前貸しの発動方法と何か共通点がありそうだが。
「ッ!!?ブオォォォォォォォォォ!!!」
見つかった。
オークの咆哮が響き渡る。
その目は血走り、牙をむき出しにして、猛スピードでこちらへ向かってくる。
...相手との距離が目視で100mに。
ちょうど前借りの射程距離。
凶暴な魔物を前にすると、前借りを使用したい欲に駆られる。
だが、今回は対象が1体のみ。
前借りを使っても、相手の魔力がこちらに流れ入ることはない。
...................。
「....魔力が流れ入る?」
そうだ!
力の前貸しを使う際も、魔力は流れていた。
相手を介して。
魔力を相手に流すことで、力の貸し借りをする能力。
魔力を自分に流すことで一点に集中させ、特定のステータスを高める能力。
この2つの能力を使う際、必ず魔力がどこかに流れていた。
だから、力の貸し借りとステータス変動の根本的な能力は――
「魔力の流動か」
大本が同じ魔力の流れなら、ステータス変動の方法も――
間近に迫ったオークが鉈を振り下ろす。
ブンッ!
しかし、空を切った。
「....ブォ!?」
オークが困惑した声を漏らしながら振り返る。
その瞳が明らかに動揺していた。
(速すぎて……ついてこられないか?)
オークは目を細め、俺の足元を必死に追おうとする。
しかし、それでも間に合わない。
視線が遅れ、狙いが定まらず、わずかに鉈を振るうタイミングが狂っている。
「ステータス」
―――――――――――――
リザヤ (永久レベル1)
・
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魔力(エナジー) 60(前借り30)
5大ステータス
攻撃 0
防御 0
魔法 0
魔防 0
速さ 60
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無事、ステータス変動には成功したようだ。
攻撃、防御、魔法、魔防の4つの全てを速さに前貸しすることで。
おかげて、速さが爆発的に高まった。
ブンッ!ブンッ!ブイィィィィン!!
オークの鉈が超高速で回転し始める。
本来のオークにはできない芸当だ。
やはり、前貸しでかなり強化されている。
「ブオォォォォォォォ!!!」
シュッ!バッ!スカッ!
オークの猛攻を交わし続ける。
どうやら、走力だけではない。速さのステータスを上げることで強化されるのは――
「...ゆっくりだ」
反射神経も向上し、オークの攻撃がスローモーションのように見える。
おかげで動きが読みやすい。
スッ!サッ!ビュンッ!
だが、決して油断はできない。
今の俺は、他4つのステータスを犠牲にして速さを得ている。
つまり、防御を捨てている状態だ。
相手の攻撃が一発でも当たれば即死だろう。
オークもそれを理解し始めたのか、足を止め、こちらを睨むように立ち尽くした。
「……ブオォォ……」
呼吸が荒い。
ただの獣なら考えなしに突っ込んでくるはずだが、こいつは違う。
慎重になり始めた。
(やっぱり、知能がある程度あるタイプか……)
オークはギラついた目でこちらを見据え、鉈を持つ手に力を込める。
筋肉が隆起し、攻撃の威力を増しているのが分かる。
「この次で仕留める」
そう言わんばかりの殺気が俺を包む。
ふと、相手の負債プロンプトに目がいく。
「....70.34%。」
もっと上げたいところだ。
最低でも利子142%を超えなければ、今回借りた元本の100魔力(エナジー)すら返済できない。
しかも、その142%も俺が支払う利子を度外視した場合の話だ。
実際はそれ以上にしないと、負債が膨らむ。
...改めて、今の俺にできること。
それは、相手に多くのMPを使わせつつ、利子が育つまで全ての攻撃を回避することだ。
オークの肩が上下し、息を整え始める。
全力で振り回した影響で、消耗しているのかもしれない。
「来いよ、オーク。」
「ブオォォォォォォォ!!」
オークの攻撃が再び始まる――。
.........................
............
...。
所々危ない場面はあったが、オークの大量のMPを消費させることに成功した。
だから上手くいっていると思っていた。この声が聞こえるまでは――
《MPのポイント残量が限界に近づいています。》
加速させていた足が、すぐに踏みとどまる。
だが、心臓の鼓動が嫌なほど速くなる。
MP残量 3 / 33
(やばい...!)
MPが0になれば、魔力の流れそのものが遮断される。
つまり、速度強化も維持できなくなる――即死だ。
攻撃よりは避け続ける方がMP効率は良い。
だから問題ないと思っていた。
だが、相手は格上のオーク。
MP総量がこちらより圧倒的に多いため、最終的に息切れするのは俺の方だった。
「作戦は...頓挫か」
なら、動けなくなる前に利子を。
相手のプロンプトを確認する。
「利子110%.....」
元本返済基準である142%に届いていない。
この状態で利子を回収したら、負債が増える。
......それだけは避けなければ。
(くそ...どうする?)
MPはまだ 3 残っている。
だが、もう余裕はない。
ここで無駄に魔力を使えば、それだけで死が決まる。
慎重に、しかし速く。
となると、残された方法は一つしかない。
「MPが尽きる前にオークを....!」
一度気絶させてしまえば、後は借りた時間による利子が大きくなるのを待てばいい。
とはいえ、普通に戦えばまず勝てない相手。
だから相手の虚を突く必要がある。
そのためには...何が武器になる?
これまでの奴の反応を振り返る。
そういえば、奴は俺の速さに驚いていたな。
あの反応を見るに、恐らく俺がステータス変動できることに気づいていない。
........勝てる。
奴の無知を上手く利用すれば!!
残りMP 3――使えるのは、数回の回避と火力全振りの一撃だけ。)
ダッダッダッ!!
今度はこちらから動く。