Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)
外伝「好きな人と親友とのクリスマス」(5)
涼ちゃんはタコ焼き機の上にあったたこ焼きをぽいぽいと、
三人の小皿に積み上げていく。
私はたこ焼きを頬張りながら伊織の様子を見ていた。
「合コンに行ったらあかんタイプや」
「酒癖の悪い美女がいたら危険すぎるわ」
「興味ないけど一回くらい行ってみようかしらー」
酔っぱらった伊織は、ほてった顔をくっつけてきて
身体ももたれさせてきた。
「……こういう伊織、見たことがない。
かわいすぎる」
「俺以外の男がおったらやばかったな」
伊織は、心の中にかなわぬ想いを抱いたままだし、
今は恋愛に興味がないと思えた。
大学卒業後の進路を決めて、遠くへいくことで想いを断とうとしている。
涼ちゃんは、私が彼女の話をすると親身になって
話を聞いてくれた。
涼ちゃんにとっても大事な友達なのだ。
「伊織、だいじょうぶ? 終電まで休ませてもらってから帰ろうか」
「うん。私は大丈夫。一人で帰れるから菫子は草壁君と……」
とりあえず伊織が次に何を言うか見守っていた。
「今日は三人で集まれてよかったね」
寝息を立て始めた伊織を見かねた涼ちゃんが毛布を手渡してくれる。
私は伊織に毛布を掛けた。
エアコンはきいていても何もかけずに寝るのはよくない。
「涼ちゃんありがとう」
「一番心配してくれてる永月の恩に報いるためにちゃんとせんとな」
その日は終電の時間に涼ちゃんの家を出て、伊織と電車に乗った。
三か月後、結ばれた報告をした時、私は強がって真実を
言えなかったけれど涼ちゃんは軽口で真実を伝えた。
祝福してくれて彼女の恩に報うことができたのだと感じた。
次来る時は二人きり……その通りになったのだ。
それから数年が経ち、
二人の結婚式の数日前に地方に旅立っていた伊織と再会した。
彼女はあの時よりもっと綺麗になっていて、
目を瞠ったけれど新しい恋をしていると教えてくれた。
結婚式に出てくれた伊織が、就職先の先輩という彼と
ともに神戸に帰ったのを聞いた時、うまくいったのだとうれしかった。
関西弁の罠にはまったという言葉は思い出す度笑ってしまう。
結婚式の数日後にこんな話をしていた。
「四人で会ったら面白いことになりそう」
「ああ……いや合わんと思うわ。多分」
「方言似てるのに」
「兄妹や親子の感情のぶつかり合い、見てるやろ」
「涼ちゃんたち家族は仲がいいからできるもんね」
今日この日まで来れたのも彼女のおかげでもある。
私も伊織が困ったとき、そうじゃない時も
心はずっと離れずにそばにいたい。
三人の小皿に積み上げていく。
私はたこ焼きを頬張りながら伊織の様子を見ていた。
「合コンに行ったらあかんタイプや」
「酒癖の悪い美女がいたら危険すぎるわ」
「興味ないけど一回くらい行ってみようかしらー」
酔っぱらった伊織は、ほてった顔をくっつけてきて
身体ももたれさせてきた。
「……こういう伊織、見たことがない。
かわいすぎる」
「俺以外の男がおったらやばかったな」
伊織は、心の中にかなわぬ想いを抱いたままだし、
今は恋愛に興味がないと思えた。
大学卒業後の進路を決めて、遠くへいくことで想いを断とうとしている。
涼ちゃんは、私が彼女の話をすると親身になって
話を聞いてくれた。
涼ちゃんにとっても大事な友達なのだ。
「伊織、だいじょうぶ? 終電まで休ませてもらってから帰ろうか」
「うん。私は大丈夫。一人で帰れるから菫子は草壁君と……」
とりあえず伊織が次に何を言うか見守っていた。
「今日は三人で集まれてよかったね」
寝息を立て始めた伊織を見かねた涼ちゃんが毛布を手渡してくれる。
私は伊織に毛布を掛けた。
エアコンはきいていても何もかけずに寝るのはよくない。
「涼ちゃんありがとう」
「一番心配してくれてる永月の恩に報いるためにちゃんとせんとな」
その日は終電の時間に涼ちゃんの家を出て、伊織と電車に乗った。
三か月後、結ばれた報告をした時、私は強がって真実を
言えなかったけれど涼ちゃんは軽口で真実を伝えた。
祝福してくれて彼女の恩に報うことができたのだと感じた。
次来る時は二人きり……その通りになったのだ。
それから数年が経ち、
二人の結婚式の数日前に地方に旅立っていた伊織と再会した。
彼女はあの時よりもっと綺麗になっていて、
目を瞠ったけれど新しい恋をしていると教えてくれた。
結婚式に出てくれた伊織が、就職先の先輩という彼と
ともに神戸に帰ったのを聞いた時、うまくいったのだとうれしかった。
関西弁の罠にはまったという言葉は思い出す度笑ってしまう。
結婚式の数日後にこんな話をしていた。
「四人で会ったら面白いことになりそう」
「ああ……いや合わんと思うわ。多分」
「方言似てるのに」
「兄妹や親子の感情のぶつかり合い、見てるやろ」
「涼ちゃんたち家族は仲がいいからできるもんね」
今日この日まで来れたのも彼女のおかげでもある。
私も伊織が困ったとき、そうじゃない時も
心はずっと離れずにそばにいたい。