Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)

6、末期症状(☆☆/4)

自分たち二人の懲りなさ加減に呆れるばかりである。
 部屋を出る際に照明のスイッチを入れてくれたので、
 光りに照らされているが、未だに裸のままだと思い知らされる結果になった。
 ぶるり、震えた菫子は、シーツを巻きつけて床に放られた下着を拾う。
 バッグの中の携帯で時間を確認すると、溜息をついた。
 脱ぎ散らかされた服を畳んで涼の分を胸に抱えると、浴室へ向かった。
水の流れる音。浴室の扉のガラスに大きな影が映る。
(……ごめん、涼ちゃん、約束守るの無理)
 脱衣籠に、服を置いてそろり立ち去ろうと忍び足で動いた菫子だったが、
 突然、浴室のドアが開いて、びくっとした。
「嘘つきはあかんなあ。覚悟せえ」
「……きゃあっ」
 すさまじい勢いで、抱きこまれてシーツが落ちる。
 浴室内に連れ込まれた時には、肌に何も身につけていない状態で涼に迫られていた。
「疲れさせた侘びに洗ってやる」
「い、いらないわよ」
「遠慮はいらん」
「……変なところ触らないでよ……ヘンタイ」
 憎まれ口を叩きながらも、浴室から出ようとしないのは、
 涼が、軽く触れる程度しか触れてこないからかもしれない。
 単に遊んでいるだけで本気じゃないのだ。
「朝までずっと一緒やろ。時間は有効利用せんと」
「……だからって」
「抗(あらが)う菫子も可愛いなあ。それでも俺は優しいからここで止まるけど」  
 不敵に笑んだ涼は、菫子を椅子に座らせて、湯船に浸かった。
 菫子は、気恥かしさでいっぱいだったが、こんな馴れ合いも悪くないと思った。
「優しい人は、真正面(まっしょうめんから見たりしないと思うんだけど」
「素っ裸で睨(にら)まれても、そそられるだけや」
 慌てて上半身を腕で隠してもどうにもならず、背中を向けて体を洗い始めた。
 時々、バスタブの中から入る茶々に辛抱強く反応を返す菫子であった。

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