Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)
14、LOVE SICK(4)
「……はーい」
吹きだすのを堪えてノってみた。
「送ってやれんけど、気ぃつけて帰れよー」
「うん。涼ちゃんもよく寝てね」
椅子を立って側を離れる。
互いに手を振り合って笑顔で別れた。
「俺は幸せ者やな……」
菫子が病室を出ると涼は、ぼそりと呟いた。
それから一ヶ月半後、三日も目を覚まさなかったのが
嘘のように涼は晴れて退院の日を迎えていた。
腕には包帯が巻かれ、まだ通常通り体が動かせるようにはなっていない。
全快するまでにはまだ暫くかかりそうだ。
「お世話になりましたー」
意気揚々とした様子で医師や看護師に頭を下げている。
「くれぐれも無理をしないように」
「分かりました」
菫子は、ゆっくりと歩いてくる涼を離れた場所で見守っていた。
傘を差しかけると満面の笑みを浮かべて手を握ってくる。
6月になりじめじめした天気が増えてきた。
梅雨も近いと思われた。
「……はよ腕治らんかな」
「もうちょっとよ」
タクシーに乗り込む時、がっくりとうなだれた涼を菫子は、笑顔で励ました。
バイクを運転できないのはやはり辛いのだろう。
「腕がなまってしまうやんか」
「うじうじしないの」
まるで子供と接しているようだ。
「菫子が、毎日毎晩慰めてくれたらもっと早く元気になれるんやけどな」
「無茶苦茶言う人ね」
「一緒に暮さへん? 家賃だって割り勘でお得度いっぱい」
「……来年の三月になっても付き合ってたら考える」
交際して一年が経つ頃だ。
考えると言っただけで、イエスと答えるかは別だが。
「その言葉忘れんなよ」
タクシーの車内だというのを忘れ、すっかり二人の世界を作っていたが、
運転手の咳払いで、はっとし、気まずくなった。
ちら、ちらと互いの顔を見つめる。
顔を赤らめて先にそむけるのは、菫子だ。
そうすると涼はいたずらに顔を近づけてからかった。
(怪我人じゃなかったら突き飛ばしてたかも)
雨が上がり、晴れ上がった空に虹が浮かんでいる。
車窓からそれを見つけた菫子は、涼の手に自分の手を重ねて叫んだ。
「涼ちゃん、虹よ! 」
「……ほんまや」
菫子の側に寄り添うようにして、窓から見える空を見上げる。
光の橋は七色に輝いていて、幻想的な雰囲気を醸し出している。
いつか、夢で渡ったあの虹にとてもよく似ていた。
「……おやすみなさい」
涼は、頬にキスを落とし、菫子の体を手繰り寄せた。
ぎゅっと密着して、心臓が暴れ出す。
不器用な手つきが、可愛いと感じた。
「やめて……ドキドキしちゃう」
「添い寝くらいケチるなや」
「……腕が痛いのにくっついて平気なの?」
「平気平気。別に真の意味で抱くわけじゃないし」
「うう……」
「そんなに嘆くんなら、してもええよ。無茶せんかったらええんやし。
菫子が上になれば問題ないんやから」
「どの口が言ってるの……よ……っ」
いきなり唇が塞がれ、甘く啄まれ呆然とする。
「もっとドキドキさせたるから、全快するまで待っててな」
にやりと笑われ、腕の中で身じろぎしたが、離れることはかなわなかった。
足でパジャマの裾を踏まれていたのだ。
「菫子が側(そば)にいたらよう寝れる。離れんといて」
「甘えてるの……しょうがないわね」
大きな子供をしっかりと抱きしめて眠りにつく。
側(そば)にある温もりが嬉しいのは菫子も同じだった。
吹きだすのを堪えてノってみた。
「送ってやれんけど、気ぃつけて帰れよー」
「うん。涼ちゃんもよく寝てね」
椅子を立って側を離れる。
互いに手を振り合って笑顔で別れた。
「俺は幸せ者やな……」
菫子が病室を出ると涼は、ぼそりと呟いた。
それから一ヶ月半後、三日も目を覚まさなかったのが
嘘のように涼は晴れて退院の日を迎えていた。
腕には包帯が巻かれ、まだ通常通り体が動かせるようにはなっていない。
全快するまでにはまだ暫くかかりそうだ。
「お世話になりましたー」
意気揚々とした様子で医師や看護師に頭を下げている。
「くれぐれも無理をしないように」
「分かりました」
菫子は、ゆっくりと歩いてくる涼を離れた場所で見守っていた。
傘を差しかけると満面の笑みを浮かべて手を握ってくる。
6月になりじめじめした天気が増えてきた。
梅雨も近いと思われた。
「……はよ腕治らんかな」
「もうちょっとよ」
タクシーに乗り込む時、がっくりとうなだれた涼を菫子は、笑顔で励ました。
バイクを運転できないのはやはり辛いのだろう。
「腕がなまってしまうやんか」
「うじうじしないの」
まるで子供と接しているようだ。
「菫子が、毎日毎晩慰めてくれたらもっと早く元気になれるんやけどな」
「無茶苦茶言う人ね」
「一緒に暮さへん? 家賃だって割り勘でお得度いっぱい」
「……来年の三月になっても付き合ってたら考える」
交際して一年が経つ頃だ。
考えると言っただけで、イエスと答えるかは別だが。
「その言葉忘れんなよ」
タクシーの車内だというのを忘れ、すっかり二人の世界を作っていたが、
運転手の咳払いで、はっとし、気まずくなった。
ちら、ちらと互いの顔を見つめる。
顔を赤らめて先にそむけるのは、菫子だ。
そうすると涼はいたずらに顔を近づけてからかった。
(怪我人じゃなかったら突き飛ばしてたかも)
雨が上がり、晴れ上がった空に虹が浮かんでいる。
車窓からそれを見つけた菫子は、涼の手に自分の手を重ねて叫んだ。
「涼ちゃん、虹よ! 」
「……ほんまや」
菫子の側に寄り添うようにして、窓から見える空を見上げる。
光の橋は七色に輝いていて、幻想的な雰囲気を醸し出している。
いつか、夢で渡ったあの虹にとてもよく似ていた。
「……おやすみなさい」
涼は、頬にキスを落とし、菫子の体を手繰り寄せた。
ぎゅっと密着して、心臓が暴れ出す。
不器用な手つきが、可愛いと感じた。
「やめて……ドキドキしちゃう」
「添い寝くらいケチるなや」
「……腕が痛いのにくっついて平気なの?」
「平気平気。別に真の意味で抱くわけじゃないし」
「うう……」
「そんなに嘆くんなら、してもええよ。無茶せんかったらええんやし。
菫子が上になれば問題ないんやから」
「どの口が言ってるの……よ……っ」
いきなり唇が塞がれ、甘く啄まれ呆然とする。
「もっとドキドキさせたるから、全快するまで待っててな」
にやりと笑われ、腕の中で身じろぎしたが、離れることはかなわなかった。
足でパジャマの裾を踏まれていたのだ。
「菫子が側(そば)にいたらよう寝れる。離れんといて」
「甘えてるの……しょうがないわね」
大きな子供をしっかりと抱きしめて眠りにつく。
側(そば)にある温もりが嬉しいのは菫子も同じだった。