Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)

epilogue2 15-2「Honey」(2/☆☆☆)

「いつもでしょ」
「今日は月夜やで」
「……気狂い? 」
「朝まで、狂おうや」
 涼の宣言と共に、首筋に指と唇が触れる。
 刺すような痛みが、変化する。
 肌に華が咲いていく。
 身をくねらせて、声を上げて、反応を返した。
 指を噛んで、官能を押し流す。
 愛撫をしながら、菫子の仕草を見ていた涼が、指を外させて代わりに唇を合わせた。
 ふくらみを指先で弄られ揺れて弾む。
 踊っているみたいで、変だ。
 肌がシーツに擦(こす)れて、立てる音は浜辺の砂のよう。
「っ………や……あ」
 柔らかな肌の谷間に落とされたキスが、じらしながら動く。
 赤く色づいた部分を含まれて、甲高く啼いた。
 唇の中に含まれたままに、指は肌をさまよい始める。
 腹部、足、つま先まで撫でられて、ぞわぞわと肌が騒ぎだす。
 リップノイズと共に離れた唇も指と同じ軌跡をたどる。
「……優しい狼やろ」
「無理して自制しなくていいのに」
 枯れた声で言うと、涼が笑った。
「無駄に挑発すんな。己の限界を確かめたいだけや」
 堪えているのが分かる声。
「焦らしすぎないで。涼ちゃんの本気はこんなものじゃないでしょ」
 挑発的な眼差しで見つめたら、息を飲む音がした。
 月の引力によって波も満ち引きを繰り返すように、
 月の魔力に導かれて、獣になる。
 それも悪くない。誘惑なんて上手くできないけれど。
「……しゃあないな」
 触れられる度疼く。
 彼を引き寄せて閉じ込めたい。
 熱くて溶けだしそう。
 唇が、離れないそこに意識が集中する。
 暴かれていくことは、怖いけれど、それ以上に涼を知ることが、何よりの幸せ。
 本気を見せつけられたら、本気を返すしかない。
 そう考えた時思考が、淡く濁(にご)った。 


「っ……」
 押しつけられているそれに、びくっとした。準備は整えられている。
 こんな体勢、信じられないと羞恥心(しゅうちしん)があるのに、
 好奇心から、抵抗する気なんて浮かばなかった。
「……今日はほんまに獣やな」
 頭上から聞こえる声。
「り……りょ、うちゃん」
 自分の中で感じた彼は、全部を満たしていた。
 静止した後、リズムを合わせて、踏みしめるように階段を上がっていく。
 一度、登りつめた後、ベッドに仰(あお)向けにされた。
 スムーズに次の準備を終えた涼が、入ってくる。
 繋がった悦びで涙がこぼれた。
 ゆるやかな波を漂って、波打ち際に投げだされた瞬間の
 相手の表情がお互いの心に焼きついた。
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