バンパイア君は私に甘々でメロメロ

5

黒川の手が、そっとすみれの膝に伸びる。
スカートの裾の上から、指先が絆創膏に触れた。

「ちょ、黒川くん……っ」

「先輩、痛いの、もう平気ですか」

低く優しい声で問われて、すみれは一瞬、何も答えられない。

「……もう、大丈夫……」

「なら、いいですよね」

黒川は小さく笑うと、ゆっくり絆創膏を剥がした。
夏の夜風が、少しだけ沁みる擦り傷を撫でる。

「やっぱ、ちょっと血、滲んでますね」

黒川の瞳が、わずかに赤く光った。
そして――すみれの傷口へ、彼の舌が、そっと触れた。

「……っ!」

最初は、ほんの一撫で。
けれどすぐに、黒川の舌はゆっくりと傷口をなぞうとする。
ぬるくて、柔らかい感触。
熱がじわじわと、膝から体の奥へ伝わっていく。

「や……ぁ、やめ……」

すみれは震えた声を漏らすけど、黒川の手は逃がさない。
彼の指先がすみれの足をやさしく支え、傷口をゆっくり舐めるたびに、全身にゾワゾワした甘い感覚が広がっていく。

「先輩の血……やっぱり美味しい」

黒川が、吐息を混じらせながら囁く。

「甘い匂いするし、ずっと味が残る」

「……や、やめてってば……」

「嘘ですね」

黒川は顔を上げると、頬を真っ赤にしたすみれを見つめ、いたずらっぽく笑った。

「先輩のほうこそ、俺に触られて、嬉しそうに見えますよ」

思わず反論しようと口を開いたすみれの唇に、黒川がそっと自分の指を当てる。

「……声、あんまり出すと、人来ちゃうんで」

優しいのに強引で、甘いのに狂おしい。
すみれの心臓は、もうさっきから壊れそうに速く打ち続けていた。
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