バンパイア君は私に甘々でメロメロ
夏の夜風が熱気を帯びている。
「……今日は、ごちそうさま」
すみれが言うと、黒川は少し黙り、歩みを緩めた。
「先輩」
「ん?」
「さっきの、冗談じゃないですよね」
「……え?」
立ち止まった黒川の横顔は、冗談みたいな軽さがどこにもなくて――真剣そのものだった。
「さっき“もう一回なめてみる?”って言ったでしょ」
「そ、それは……仕返しで言っただけで…」
「俺、本気で我慢してたんですよ」
黒川の顔がすっと近づく。
さっきまで涼しかった夜風が、急に熱を帯びて息苦しい。
「先輩が、あんな顔で誘うから」
「誘ってない……っ!」
「嘘」
黒川はすみれの耳元に唇を寄せた。
「今から、ちょっとだ、けもらっていいですか」
「えっ…や、やだ…! 人目が…」
「大丈夫。誰も見てないです」
甘く低い声とともに、黒川の指がそっとすみれの絆創膏に触れた。
その仕草が優しくて、でも震えるほどに熱を孕んでいて――
すみれは、息を呑んだまま動けなくなってしまった。