バンパイア君は私に甘々でメロメロ
まだ顔が火照ったままのすみれに、黒川がふいに真剣な目を向けた。

「……今週の金曜の夕方、空いてますか?」

その低い声に、すみれは思わずまばたきを繰り返す。

「え? 金曜?」

「はい」

黒川は、じっとすみれの目を見つめたまま言葉を続けた。

「先輩に……ちゃんと話したいことがあるんで」

「は、話? な、なにそれ……」

黒川の瞳が、少しだけ揺れている。
いつもの軽い調子じゃなく、本当に大事な話をする時の黒川の顔だ。

すみれは、息を飲んだ。

「……空いてるけど」

「じゃあ、金曜の夜、俺にください」

黒川の唇が、ほんのり笑う。
けれどその目は真剣で、どこか切実さを帯びていた。


黒川はすみれの頭をひと撫でし、何事もなかったようにスタスタと立ち去っていった。

(え……なに? 金曜って、なに?)

ひとり取り残されたすみれは、少し不安な気持ちが頭をよぎった。
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