Blue Moon〜小さな夜の奇跡〜
穏やかに季節が過ぎていく。
本田は週末になると想の格好をしてマスコミを引きつけ、そのまま想のマンションに泊まり、翌朝なに食わぬ顔でまた車で仕事に向かった。
バーのマスターも、変わらずルームキーを預かってくれる。
二人のおかげで、想と小夜は週末に会う時間を重ねていった。

やがて冬になり、クリスマスコンサートを光と一緒にと、小夜はマスターに頼まれる。
想に話してみると、小夜の仕事なのだからと了承してくれた。

「けど、俺もカウンターの片隅で目を光らせてるからな。あいつがちょっとでも小夜に触れようもんなら、出て行って張り倒してやる」

息巻く想に、冗談に聞こえないと小夜は身震いする。
光も、想ならやりかねないと思ったのか「絶対にあいつの前では小夜に触らない」と真剣に頷いた。

クリスマスコンサートは、去年と同じ流れでまた好評を博す。
だがそのあと小夜が客室に行くと、想はたちまち小夜をベッドに押し倒し、ひと晩中離してくれなかった。

「こんなに焦らした小夜が悪いんだぞ」

どうしてそうなるの?と口を開きかけても、想の口づけがそれを許さない。
小夜はただ想の愛を一身に受け、幸せに包まれていた。
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