Blue Moon〜小さな夜の奇跡〜
つき合うということ
翌朝。
ベッドの上で小夜は想を起こさないよう、そっとその腕から身を起こす。
すると想がギュッと抱きしめてきた。

「想?」

声をかけても、想は眠ったままだ。
どうやら無意識に、小夜が離れていくのを引き留めているらしい。

「大丈夫。いなくならないよ」

耳元でささやいてから、ゆっくりと腕を解いて起き上がる。
時計を見ると、六時過ぎだった。

小夜はシャワーを浴びて着替えてから、想を揺すり起こした。

「想、起きて」
「ん……、小夜」

寝ぼけ眼の想にクスッと笑ってから、小夜は顔を覗き込む。

「私、仕事があるからもう行くね。想はまだ寝てて」
「嫌だ。行くな、小夜」
「そんなこと言わないの。また連絡するから。ね?」

すると想は半身を起こし、小夜を抱きしめてキスをする。

「約束して。必ずまた会えるって」
「うん、約束する」

しっかり頷くと、ようやく想は頬を緩めた。

「じゃあね、想。またね」
「ああ。気をつけてな、小夜」
「うん」

笑顔で手を振り、部屋をあとにする。
誰にも見られていないか気にしながら、小夜は足早にエレベーターに乗り込んだ。
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