Blue Moon〜小さな夜の奇跡〜
一階に下り、人の姿もまばらなロビーを横切ろうとした時だった。
すれ違った男性が「あれ?」と呟いて足を止める。
小夜も立ち止まって顔を上げた。
「やっぱり。藤原さん?」
「あなたは……」
どことなく想に背格好が似ている三十代の男性は、確か想のマネージャーだ。
「えっと、本田さん、ですよね?」
「そうです。あの時はご迷惑をおかけしました」
「とんでもない。こちらこそお世話になりました」
互いに頭を下げてから、本田はふと小夜が降りたばかりのエレベーターを振り返った。
「もしかして……、あいつと一緒にいました?」
小夜はハッとして口をつぐむ。
「そうなんですね?」
「あの、すみません。 やっぱり許されないですよね、私」
「あいつとつき合ってるんですか?」
黙っている訳にはいかないと、小夜は頷く。
「おととい偶然再会して、つき合うことにしました」
「そうでしたか……」
「あの、本田さん。私には彼とつき合う資格はないでしょうか? ふさわしくないのは承知しています。だけど許されるなら、私は彼と一緒にいたいです」
本田は小さくため息をついた。
「正直なところ、戸惑ってます。あいつは今まで女性には興味なくて、こういったことになるのは初めてなので。そうか、あいつが……」
うつむいて逡巡してから、また顔を上げる。
「素直に応援してやりたい。だけどマネージャーとしては、手放しで喜べないのです。その点はどうかご理解ください」
「はい。おっしゃる意味はよくわかります」
「しばらくは様子を見させてください。なにかあれば、いつでもご連絡を」
「わかりました」
ではこれで、と本田はエレベーターホールへと向かっていった。
すれ違った男性が「あれ?」と呟いて足を止める。
小夜も立ち止まって顔を上げた。
「やっぱり。藤原さん?」
「あなたは……」
どことなく想に背格好が似ている三十代の男性は、確か想のマネージャーだ。
「えっと、本田さん、ですよね?」
「そうです。あの時はご迷惑をおかけしました」
「とんでもない。こちらこそお世話になりました」
互いに頭を下げてから、本田はふと小夜が降りたばかりのエレベーターを振り返った。
「もしかして……、あいつと一緒にいました?」
小夜はハッとして口をつぐむ。
「そうなんですね?」
「あの、すみません。 やっぱり許されないですよね、私」
「あいつとつき合ってるんですか?」
黙っている訳にはいかないと、小夜は頷く。
「おととい偶然再会して、つき合うことにしました」
「そうでしたか……」
「あの、本田さん。私には彼とつき合う資格はないでしょうか? ふさわしくないのは承知しています。だけど許されるなら、私は彼と一緒にいたいです」
本田は小さくため息をついた。
「正直なところ、戸惑ってます。あいつは今まで女性には興味なくて、こういったことになるのは初めてなので。そうか、あいつが……」
うつむいて逡巡してから、また顔を上げる。
「素直に応援してやりたい。だけどマネージャーとしては、手放しで喜べないのです。その点はどうかご理解ください」
「はい。おっしゃる意味はよくわかります」
「しばらくは様子を見させてください。なにかあれば、いつでもご連絡を」
「わかりました」
ではこれで、と本田はエレベーターホールへと向かっていった。