策士の優男はどうしても湯田中さんを落としたい
祐は、瑠璃の震える唇をじっと見つめた。

「……先輩。」

低く押し殺した声で呼ぶと、瑠璃はびくりと肩を揺らす。

祐はゆっくりと顔を寄せる。もう、唇が触れそうな距離。

「本当はキスしたいです。」

その囁きに、瑠璃は息を飲んだ。

「その顔、たまらないです。」

祐の視線は、潤んだ瑠璃の瞳から、今にも泣きそうな唇へと移る。

「でも——」

祐はふっと息を吐き、目を伏せた。

「今日はしません。」

瑠璃の目が驚きに見開かれる。

「え……」

「先輩が本当に俺を拒めないって、自分で気づくまで待ちます。」

祐は小さく笑って、瑠璃の頬にそっと手を添えた。

「でも覚えておいてください。」

祐はそのまま耳元で、甘く囁く。

「次は、絶対しますから。」

瑠璃は言葉を失い、ただ息を荒くして祐を見つめるしかなかった。
< 31 / 51 >

この作品をシェア

pagetop