砂漠の王に捧げる夜 ―ただひとときでも、あなたの愛を―
その日の夜。

仄かに照らされた回廊の向こうに、カリーム王の姿があった。

ああ……

私はこの人の姿を見ただけで、胸がこんなにも高鳴る。

いけない。私は、ただの侍女。

今はこうして、窓の中から彼の後ろ姿を見ているだけの存在なのに。

そう思っていた、その時――

ふと、王と目が合った。

「っ……!」

慌てて視線を逸らし、あたりをきょろきょろ見回す。

でも再び顔を上げた瞬間、また――王と目が合った。

そして、カリーム王は……

私に向かって、静かに手招きをした。

……来い、と? 私に?

私が戸惑っていると、カリーム王はもう一度、手を差し出すように手招きをした。

今度は、まるで「待っている」と告げるような優しい仕草で。

その仕草を、私は信じた。

胸の鼓動を抑えながら、回廊の扉をそっと開け、外へと足を踏み出す。

「カリーム王……」

信じられない。まさか、私なんかと話そうとしてくれるなんて。
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