砂漠の王に捧げる夜 ―ただひとときでも、あなたの愛を―
「……カリーム王を、お支えしたい。」

気づけば、そんな言葉が唇からこぼれていた。

それは恋ではなく、憧れでもなく――

もっと深く、静かな想いだった。

きっと私は、ユリーナ様の遺品を磨き続けることで、王の心の傷を少しずつ癒していけるのではないかと思った。

あの方が、いつかユリーナ様を忘れられる日まで。

その日が来るのを待ち続けることが、今の私にできる精いっぱい。

「はぁ……いつになるのだろう。」

ため息とともに、指先を胸元に当てる。

あの香りはもう残っていないのに、鼓動だけが確かに鳴っていた。

ベッドに横たわると、瞼の裏にあの人の姿が浮かんだ。

あの腕。あの胸の温もり。

ただ優しく、そっと包まれるだけで、心が満たされる気がした。

――でも。

「……もっと欲しい。」

ぽつりと、誰にも聞こえない声で呟いた。

抱きしめられたぬくもりが、まだ肌に残っている。

けれど、それだけでは足りない。

一度、触れてしまった。
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