砂漠の王に捧げる夜 ―ただひとときでも、あなたの愛を―
「悔しかったら、ハーレムに入ってみなさいよ。」

奥から軽やかな声が響いた。

振り向くと、ゆったりと歩いてきたのはライラ様だった。

その姿はまさに絵のように美しく、周囲の空気が彼女の登場と共に張り詰める。

「ただし、家柄と美貌が要求されるけれどね。」

わざとらしい笑みに、側女たちからくすくすと笑い声が上がる。

「まあ、万が一ハーレムに入れたとしても……」

ライラ様はわざと間を置いてから言った。

「あなたじゃ、夜伽の相手にはなれないわね。」

「……どういうことですか?」

かろうじて絞り出した声は、震えていた。

ライラ様は私を上から下まで舐めるように見て、口角を上げた。

「体が貧相だって言ってるのよ。」

一瞬、全員の笑いが爆発する。

その場にいる空気が、私だけを切り離していくようだった。

でも私は――涙をこらえた。

唇を噛みしめ、視線を落としたまま、頭を下げた。
< 26 / 30 >

この作品をシェア

pagetop