砂漠の王に捧げる夜 ―ただひとときでも、あなたの愛を―
「何をしているんだ。」

重く低い声が響き、皆が振り返った。

そこには、威厳ある佇まいのカリーム王が立っていた。

「王陛下!」

妃たちは一斉に声を上げ、慌てて王のもとへ駆け寄る。

「これは、その……侍女に身分制度を教えていたのです。」

「身分制度?」

王の鋭いまなざしに、妃たちは少しひるみながらも、笑みを浮かべて続けた。

「ええ。どこかの侍女が、自分の身分を理解していないようでしたので。」

クスクスと笑いが再び広がる。

冷ややかな視線が私に向けられ、空気が再び彼女を突き刺す――

……その時だった。

「ナディアは、侍女としてよくやってくれている。」

カリーム王が、静かに言った。

その声には、強さと温かさがあった。

全員の笑いがぴたりと止まる。

私は、思わず顔を上げて王を見た。

その瞳は、まっすぐに彼女だけを見つめていた。
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