砂漠の王に捧げる夜 ―ただひとときでも、あなたの愛を―
けれど、それでも――

あの髪に、もう一度触れたくて。

「あの……不躾ながら、王の髪……編ませていただいてもよろしいでしょうか?」

王はふっと目を伏せられ、どこか遠い場所を見るような表情をされた。

「王の髪に触れられるのは、妃だけだ。」

静かに、けれど確かにそう言われた言葉が、胸の奥に突き刺さった。

「……申し訳ございません。」

私は頭を深く下げると、そっと王のもとから離れた。

あの指先に、王の髪の感触が残っているはずもないのに――

手が、じんと熱を持っていた。

「……カリーム王。」

噴水から離れようとしたその瞬間、後ろから手首をそっと掴まれた。

振り向くと、カリーム王がすぐ傍にいた。

まっすぐではなく、少しだけ伏せた眼差し。
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