砂漠の王に捧げる夜 ―ただひとときでも、あなたの愛を―
それはたぶん、嫉妬だった。

妃という存在に、自分が決してなれないと知っているから。

けれど王は、苦笑するように返した。

「あれは、形だけの妃だからね。」

手が震えそうになった。

それを誤魔化すように、編み終えた髪の先を、黒い輪ゴムで留める。

「……お待たせしました。」

王がそっと振り返り、微笑んだ気がした。

でも、目が合う前に、私は恥ずかしさに俯いた。

触れてはいけないものに、触れてしまった気がした。

でも――触れられて、嬉しかった。
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