Still In Love
 狭い店内は混んでおり、次から次へと客が来るので早く出ないといけないような雰囲気がある。
 私はさっさと食べ終え、レジに二千円を置くと、
「ごちそうさまです」
 そう言って店をあとにした。

「おいおい⋯⋯!なんでナミが会計済ませちゃうんだよ?」
 店を出ると、少し慌てたようにスギヤマが言う。
「ラーメンぐらいで、奢ってやったと思われたくないからよ」
「じゃあ、近くのバーで飲もう。今度こそ、びた一文だって出させない」
「いい。もう帰りましょ」
「ホントに、どうしたんだよ?体調悪い?」
 そう言って、人目も憚らず、おでことおでこをぶつけてくる。
「熱はないみたいだけど⋯⋯あ、もしかして、お月様?」
「違います」
「せっかく一ヶ月ぶりに会えたんだから、そんなに急いで帰らないで。もっと一緒に居たいんだ」
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