色褪せて、着色して。~番外編~
第2章 デイのはなし
 貴族の次男坊として生まれた時。
 生まれたときから、「終わってる」…と世間では言われるそうだ。
 長男は宝。
 次男、三男は予備にしかならないのだ。
 長男は生まれたときから将来が約束されている。
 父から爵位を受け継ぎ、安定した生涯が約束される。

 次男は、長男が無事に爵位を継ぐまで。
 それなりの教育を受け、将来一人で生きていくのに大丈夫なように。
 少しずつ家族と距離を取られる。

 ティルレット王国では。
 貴族の次男坊、三男坊はたいてい騎士になっているそうだ。
 収入が良いし、何より安定した職業だそうで。(他国の言葉を借りるならリストラというものがないそうだ)
 特にエリート騎士と言われる国家騎士になっておけば将来安泰だという。

 貴族の次男坊であるデイは。
 世間に流されるがまま、騎士を目指した。
 最初は自分の意志とは関係なしに騎士団学校に入ったが。
 先生に剣の腕を褒められたことをキッカケに。
 せっかくなら、騎士の頂点を目指してやろうじゃないかと心に決めた。

 そして、時は流れ。
 デイは、騎士の頂点に昇りつめようとしていた。
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