色褪せて、着色して。~番外編~
 デイは、先輩であるメグミのお見舞いに来ていた。
 医務室に横たわるメグミの顔は、ぐるぐると包帯で覆われている。
 医務室とはいえ、怪我人が多いので、ベッドが10台ほどある。
 がらんとした部屋にいるのは、メグミとデイだけだ。
「来たか…」
 見えないはずなのに、メグミはデイに気づいて。
 ゆっくりと起き上がる。
「忙しいところ、済まなかったな」
 しゃがれた声で、メグミが言った。
 先日の戦争で、メグミは国王をかばって敵の攻撃をもろにくらった。
「私は、引退することになった」
「そうですか」
 周りから見えば、デイの態度は冷たいと言うだろう。
 だが、感情は一切排除というのが忍の第一条件である。
 身長2メートル近くあるメグミはベッドが窮屈なのか、膝を折り曲げる状態でベッドに座っている。
 デイは白いベッドを眺めていた。
「私の後任として、君を使命する」
「御意」
 ついに、国家騎士の頂点に立つことが決まった。
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