AI生成でママにされた私は、シングルの年下クズ男子に再構築されています。
 それらをまとめて彼に手渡し、じっと様子を観察する。彼の表情があの封筒を見た途端、不自然に固まった。それも一瞬のことだった。

「ありがと」

 素っ気なく言い、天喜はそのまま仕事部屋へ置きにいく。

 なるほど。大事な書類は仕事部屋に置いているわけか。そう認識した。

「なんの手紙だったの?」

 夕食を済ませたあと、気になって聞いてみることにした。ぎこちなくならないよう、声の出し方にも配慮した。
 なにが、と言いたげに天喜の視線が飛んでくる。

「さっきの……天喜宛の手紙。差出人に児童養護施設ってあったから……その」

 宝瑠はそこで口をもごもごとさせ、テレビアニメに集中する日葵を一瞥した。

「就学確認の書類」と天喜が言う。

 空になった食器をシンクに下げて、後片付けを始めようとしている。宝瑠は「手伝う」と言い添えて、同じように食器や調味料をキッチンに運んだ。

 天喜が蛇口の取手を上げて、湯を出した。宝瑠は、食器洗いを始める彼に並んで、ディッシュクロスを握りしめた。

「それで……児童養護施設って、あの」

 言いにくそうに言葉を濁す宝瑠を見て、天喜がふっと息をつく。

「そっ、日葵の」
「……そっか」

 やっぱりそうなんだ。

 宝瑠は目を伏せて、考えを巡らせた。
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