AI生成でママにされた私は、シングルの年下クズ男子に再構築されています。
 は……? 温泉?

「わかった」

 返事をする自分の声が、滑稽すぎるほど間抜けに聞こえた。
 静かに部屋を出ていく天喜の背中を、呆気に取られながら見送った。


「……はぁ」

 もう何度目かのため息がこぼれた。

 宝瑠は洗面台の鏡と向かい合いながら、丁寧に化粧を済ませた。視線を下げて、曖昧に蛇口を見つめた。

 昨日……。天喜が部屋を出てから、急に馬鹿馬鹿しくなったんだよね。

 日葵の方を向いて目を瞑っていたら、いつの間にか寝ていた。

 天喜が部屋に戻ってきたの、何時か知らない。ちゃんと眠れたのかな?

 とりあえず、チェックアウトまでまだ三時間はあるし。ぎりぎりまで寝かせてあげよう。

 宝瑠は私物の鞄を手に、部屋を抜け出した。コーヒーを飲むため、一階にある食堂へ向かった。

 *

 十時前にチェックアウトを済ませて、また車に乗り込んだ。

「うん……今からそっちに向かうから。着くのは十一時ぐらいになると思う」

 宝瑠は耳に当てたスマホに意識を向けながら、うん、うん、と相槌を打っていた。

 後部座席にいる日葵は両足をパタパタさせながら、小さな鼻歌を口ずさんでいる。昨夜、夕食を食べてからゆうに半日は寝ていたので、エネルギーは満タン、元気も溌剌としていた。
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