15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
「はい?」

思わず、私は首を傾げる。

彼は少し言いにくそうにしながら、それでもはっきりと口にした。

「今回の入院費は、俺が払うから。君は、何もしなくていい」

――えっ?

その瞬間、空気の温度が少しだけ変わった気がした。

あんなに温かかった感謝の言葉が、いきなり“お金”に変わった気がして。

「そんな……お金の話……?」

私は思わず、ぽつりと呟いていた。

「いや、大切なことだろう。だから――」

彼の声が少し硬くなった。

直感的に、嫌な予感がした。

「今回の件……示談にしてもらえないだろうか」

胸の奥で、何かが崩れ落ちた気がした。

こつんと音がして、言葉が、空気が、すべてが冷たく変わっていく。

「どうして……ですか?」

気づけば、私は聞いていた。

聞かなければよかったのに。

「その……俺は、大きな会社に勤めている。若い女性を怪我させた、なんて報道されたら……いろいろと問題があって。」
< 11 / 297 >

この作品をシェア

pagetop