15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
「……綺麗」

思わず漏れた言葉に、私自身が少し驚いた。

けれどそれくらい、本当に優しくて、あたたかい花束だった。

小さな部屋の空気まで変わったようで、見ているだけで心が落ち着いていく。

「なんか……入院してよかったかも」

冗談めかしてそう言うと、彼はすぐさま苦笑した。

「そんなこと、ないでしょ」

「だって、こんなに綺麗な花束。誰もくれないから」

本音でもあり、少し強がりでもある。

普段は口にしないようなことも、ここではついこぼれてしまう。

彼は何も言わずに椅子を引いて座った。

そして、少しだけ笑って言った。

「そんなに嬉しいなら……毎回、俺が持ってくるよ」

「ええっ?」

思わず声が上ずった私に、彼は肩をすくめるように笑った。

「なんだよ、嫌なの?」

「い、いえ、そうじゃなくて……」

頬が熱くなる。

思わず目を逸らしたけれど、胸の奥はふわりと温かかった。
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