15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
「ありがとう……ございます」

戸惑いながらも、そう口にすると、彼はもうひとつの紙袋を取り出した。

「これも」

袋の中には、小ぶりだけれど上品な花瓶が入っていた。

透き通るガラスに、淡い装飾。花の色にぴったりだった。

「急な入院で、花瓶も用意できないよね」

「……あっ、そうですね」

言われて初めて、私は昨日の花束をどこに飾ればいいかさえ考えていなかったことに気づいた。

彼は無言で花束を受け取り、花瓶を片手に持って、「水、入れてくる」とだけ言って病室を出て行った。

その背中を見送ったあと、私はそっとベッドに寄りかかった。

――優しい人だ。

昨日の言葉は、きっと不器用な誠実さだったのかもしれない。

そう思いたくなるほどに、今日の彼はあたたかかった。

花瓶に水を入れた彼が戻って来た。

そっと私のベッド脇のテーブルに、それを置く。

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