15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
「兄さんとデート? いいなあ。」

「……はい。」

声を潜めるように返事をすると、海さんがじーっとこちらを見つめてきた。

「えっと……なにか?」

「いや、なんかその格好見て、やっぱり大学生なんだなって思っただけ。」

ああ、やっぱりカジュアルすぎたんだ……と、うつむきかけたそのとき。

「海。」

ピリッとした声が、空気を切り裂くように響いた。

――玲央さんのお母さん。

案の定、気づかれてしまった。

私の視線を正面から捉えるように、その女性は一歩前に出てきた。

背筋がすっと伸びていて、ただ立っているだけなのに威圧感がある。

そして、その目が明らかに「誰?」と問いかけてきていた。

私は小さく一礼をしたものの、心臓がドクドクとうるさく跳ねる。

どうしよう。こんな出会い、想像してなかったのに。

「お知り合いの方?」

けれどその口調は、意外なほど穏やかで、柔らかさすら感じられた。
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