15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
「ああ、うん。まあ、俺っていうよりも――兄さんの方だけど。」

そう言って海さんが軽く笑うと、お母さんの表情がわずかに変わった。

「玲央の?」

その名を聞いた瞬間、ピンと張り詰めるような空気が走る。

そして、お母さんの視線がまっすぐに私へと向けられた。

穏やかだけど、逃げ場のないまなざし。

もう――覚悟を決めよう。

「初めまして。玲央さんには、いつもお世話になっております。」

そう言って、私は小さく頭を下げた。

一礼する手のひらに、じわりと汗がにじむ。

「お世話になっている、というのは……」

お母さんの声が静かに響いた。

「――まさか、特別な関係、なんでしょうか?」

優しい口調なのに、その言葉には確かな圧があった。

私はぎゅっと唇を引き結び、震えそうな声で答える準備をした。

……今、この瞬間からが、本当の意味での試練なのかもしれない。
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