15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
「……あの、私、将来は司書として働きたいと思っていて──」

だがその言葉の途中で、玲央さんの手が私の手をそっと握った。

「ひより。」

その目は静かで、けれど真っ直ぐだった。

「おふくろ、俺はひよりが仕事をしててもいいと思ってるよ。」

一瞬、お母さんの眉がぴくりと動いた。

「俺、家事もするし、協力するから。ひよりがやりたいことを我慢して、俺の妻でいる必要はない。」

お母さんは何も言わず、私たち二人をじっと見た。やがて、ほんの少しだけ頬が緩む。

「いいのよ。いいのよ。司書でも何でもやってちょうだい。でも結婚も出産も大事でしょ。」

お母さんは、まるで当たり前のようにそう言った。

その柔らかな笑顔の奥に、しっかりとした“期待”が透けて見える。

私は言葉に詰まり、黙り込んでしまった。

まるで、もう“嫁”として扱われているような気がした。

私の夢や目標なんて、付け足しに過ぎないみたいに。
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