15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
その一言に、場の空気がピシッと切り替わった。

「……!」

お父さんはガバッと顔を上げると、改めて玲央さんを正面から見つめる。

「……ただ、娘が大学を卒業するまでは、待ってもらえませんでしょうか。」

その声には、父親としての強い想いが込められていた。

威圧でも怒りでもない。

けれど、譲れない願いがあった。

「馬鹿な親だと思いますでしょうが……どうしても、娘が学業と家事を両立できるとは思えんのですよ。」

その言葉に、私の胸がぎゅっと締め付けられた。

玲央さんに対する否定じゃない。

私自身の、未熟さへの懸念だとわかっていた。

わかっていた。

この瞬間、玲央さんは本気だった。

誰に対してでもなく、私の父に──家族になる人として、きちんと想いをぶつけてくれている。

真剣な眼差しで、玲央さんは父をまっすぐに見つめた。

「どうか、僕に任せてください。」
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