15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
まるで夢見がちなヒロインみたいに、

“あの人と恋に落ちるかも”なんて、都合のいい妄想をしていた自分が滑稽で仕方なかった。

「……私って、ほんとバカ。」

ただの女子大生。

アルバイトと勉強で精一杯の、何の取り柄もない女の子。

そんな私が、御曹司に恋してた。

毎日花を持ってきてくれて、優しく微笑んでくれて、手を握ってくれて。

それを全部、特別な感情だと信じ込んでいた。

「違うのに。」

あの人は、私を“助けてくれた女の子”として大切にしてくれているだけ。

それだけなのに――。

目頭が熱くなった。

涙は、もうこぼれないと思っていたのに。

心の中で、そっと思った。

(これ以上、好きになっちゃいけない)

(ちゃんと、現実を見なくちゃ――)

でも、どうしてだろう。

明日また、病室のドアが開いて「ひよりさん」と呼ばれたら。

私は、どんな顔をすればいいの?
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