15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
そのときだった。

視線の先に、あの人がいた。

さっきすれ違った、高級車から降りてきた男性。

紺色の傘に、グレーのスーツ。

落ち着いた色合いが、雨の中で妙に映えていた。

私はまた、あの人に追いついてしまった。

すごい偶然――なのに、心のどこかが「やっぱり」と囁いている。

不思議と、驚きよりも納得のほうが強かった。

信号が青に変わる。

私たちはそれぞれの傘をさしながら、同じ歩幅で横断歩道へと足を踏み出した。

音もなく、雨粒だけが静かに、ふたりの距離を繋いでいた。

ふと横を見ると、赤信号だというのに、車が猛スピードで走ってきていた。

雨に濡れた路面を切るように、タイヤが水を跳ね上げる。

一瞬で、嫌な予感がした。

その車はブレーキを踏んだように見えたけれど、スピードがありすぎて滑っている。

止まれない――そう直感した。
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