15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
「どの建物ですか?」

運転手さんの声が現実に引き戻す。

はっとして窓の外を見ると、見慣れた景色が広がっていた。

私は玲央さんからそっと離れ、少し恥ずかしそうに答えた。

「えっと……右の、緑の屋根のアパートです。」

玲央さんは軽く頷き、「了解」と言って微笑んだ。

車がゆっくりとそちらへ向かって進み始める。

車内に残る静けさの中、二人の心だけが確かに近づいていた。

そしてアパートの前に、車が静かに停まった。

「はい、お嬢さん。」

玲央さんがドアを開けてくれる。

その動作ひとつひとつが、まるで夢の中の紳士のようで——

私は胸の奥が温かくなるのを感じながら、ゆっくりと車から降りた。

「じゃあ、何かあったら連絡して。」

玲央さんは、優しく微笑む。

でもその笑顔に、どこか距離を感じた。

「……はい。」

小さく頷きながら、私は玲央さんを見つめた。

伝えたい言葉が喉につかえて、うまく出てこない。
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