15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
そして、くるりと振り向いた彼が、すぐに私の手を握りしめる。

「明日の10時にここに来るから。」

「えっ……?」

思わず声が漏れる。

頭が追いつかない。けれど、玲央さんは真っ直ぐ私を見て、もう一度言った。

「10時だよ。」

そして、そっと私の手を離すと、後部座席のドアを開けて中へ入った。

バタン、と静かに閉まるドア。

車がゆっくりと発進し、夕暮れの街へと走り去っていく。

私の手の中には、玲央さんのぬくもりがまだ残っていた。

明日——10時。

その言葉だけが、鼓動のように胸の中で響いていた。
< 59 / 297 >

この作品をシェア

pagetop