15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
運転手らしき人と、もうひとり。

私はゆっくりと、まぶたを開けた。

滲む視界の先に、見覚えのある傘とスーツ。

あの人だった。

グレーのスーツの男性。

雨粒に濡れながら、私の顔を覗き込んでいた。

優しく、それでいて必死な顔。

「大丈夫ですか?」

私は反射的に、彼に手を伸ばした。

触れたかった。無事でいることを、確かめたかった。

――だけど、私の視界に赤がにじむ。

手のひらに、どこかから流れた血がついていた。

「俺は大丈夫だ。君が……」

「……よかった。あなたが無事で。」

それだけ伝えた瞬間、私の意識は、ふっと暗く沈んだ。

しばらくして私は、担架に乗せられていた。

体はぐったりとしていて、目も思うように開かない。

サイレンの音が遠くで鳴っている。

救急車に乗せられる感覚はあるのに、力が入らない。

喉がつかえて、声も出せない。
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