15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
玲央さんの運転は、どこまでも柔らかくて優しかった。

アクセルの踏み方ひとつ、カーブの曲がり方ひとつが、まるで隣に座る人を気遣っているようで——まるで私が、大切な人であるかのように思えてしまう。

「ご飯食べた?」

不意に聞かれた声に、私は小さく首を振った。

「いえ、まだ食べてないです。」

「俺も食べてないから、何か食べようか。」

「……はい。」

たったそれだけの会話なのに、胸がほんのり温かくなる。

車は静かに、大通りを走り抜ける。

ビルの隙間から朝の光が差し込んで、車内を淡く照らした。

「玲央さんって、運転上手いですね。」

私がそっと言うと、ハンドルを持つ指先が少しだけ動いた。

「そうかな。」

短く答えたその声も、どこか優しい。

私の視線は、自然と彼の横顔を追ってしまう。

真っ直ぐ前を向いているのに、不思議と安心する表情。
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