15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
「でもね、すごく優しかった。誠実で、真面目で。でもそれが、返って距離を感じるっていうか。」

「それって……自分から離れようとしたってこと?」

さくらが、そっと尋ねた。

私は、こくりと頷いた。

「“君には未来がある”って。そんなこと言われたの、初めてだった。」

「うわ、なんか切ない……」

さくらが小さくつぶやき、誠一はサラダをつついている。

「でも、マグカップひとつだけ、もらってくれたの。」

その一言に、ふたりとも顔を上げた。

「副社長のデスクに置いてあったの、ブログに載ってた。」

「おいおい、なんだそのドラマみたいな話!」

誠一の声が、少しだけ笑いを混ぜてくれる。

私はその優しさに、救われるような気がした。

「もう、会えないかもしれないけど……あの人が、どこかであのカップを使ってくれてたら。それで、十分なんだ。」

私はそう言いながら、オレンジジュースのグラスを見つめた。
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