15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
「うんうん、いいねその意気込み。じゃ、行きますか。」

電車を降りて、私たちは玲央さんの会社があるビルを目指して歩き出した。

平日の午前九時半。

駅前の交差点は、まさにラッシュのピークを少し過ぎたところだった。

ビシッとスーツを着た男性たち。

ハイヒールにアイロンのきいたブラウス姿の女性たち。

さすがは都心のオフィス街。

キリッとした空気と、どこかピリッとした緊張感が、あたりに漂っている。

「すごいね……」私は思わず息を飲んだ。

「ね。こりゃあ学生の格好じゃ浮いちゃうわ。」

さくらが肩をすくめる。

その横で私は、何度もスマホの地図を確認した。

「あっ、あの角を曲がったらすぐだよ。」

「よし、じゃあ“たまたま通りがかった風”作戦でいこう。」

「たまたま……ね。」

少し笑いながらも、私の手のひらにはじんわりと汗がにじんでいた。
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