15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
でも、確かに――私の目と、玲央さんの目が合った気がした。

車はそのまま坂を上り、オフィスビルの立体駐車場へと消えていく。

その黒い背中を、私はただ呆然と見送っていた。

「玲央さん……」

つぶやいた私の隣で、さくらが周囲をきょろきょろと見回す。

「えっ、いた?どこどこ?」

「もう……ビルの中に行っちゃった。」

胸の奥で、心臓の音が跳ねた。

会えたとは言えない。

けれど、目が合った――たったそれだけで、どうしようもなく、嬉しかった。

「聞いてみたら? その人と会えるかどうか。」

さくらが、じっと私を見て言った。

「いや、会えないよ……きっと。だって、私――ただの大学生だし……」

言いながらも、心のどこかでは期待してしまっていた。

さっき目が合った気がした。

あれが偶然じゃなかったら、ほんの少しでも――。

「聞いてみなきゃ分からないじゃん!」

さくらが唐突に言い放ったその言葉と同時に、風がふわっと吹いた。

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