15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜

第4章 追いかけた先に、あなたがいた

「え……?」

次の瞬間、さくらは私の返事も待たず、オフィスビルに向かって駆け出していた。

「さくらっ⁉」

驚いてその背中を見送る。

高層ビルの入口に、セキュリティのゲートが見える。

その向こうで、スーツ姿の人々が忙しなく行き交っている。

さくらはその中に混じるように、小柄な体で正面玄関へと走っていく。

「ちょ、待ってよ……!」

私は慌ててスカートの裾を押さえながら、後を追った。

でも胸の奥では、何かが高鳴っていた。

「副社長ですね。アポは取られていますか?」

受付の女性は丁寧な口調ながらも、淡々とした表情だった。

「アポ……」

私は思わず、さくらの方を見た。

彼女も同じように私を見て、苦笑いする。

「失礼ですが、どのようなご用件でしょうか?」

受付の女性の声が、少しだけ柔らかくなる。

けれどその一言で、私は言葉を失ってしまった。

……なんて言えばいいの?
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