15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
すると、受付の人が内線に手を伸ばし、静かに話し出した。

「はい、ひより様という方です。……はい、確認いたします。」

沈黙の数十秒。受話器の向こうの声に、受付の人は軽く息を呑み、そして小さくため息をついた。

「……申し訳ありません。秘書の方が言うには、お時間は取れないとのことです。」

その瞬間、胸の奥に冷たいものが落ちた。

でも、ここまで来たのに。何も伝えられないまま帰るなんて。

私は一歩前に出て、食い下がるように言った。

「それは、玲央さん本人に確認したことですか?」

受付の人は少し戸惑いながらも、視線を逸らさず答えた。

「それが……副社長は、先ほど外出されてしまいまして。秘書の方の判断とのことです。」

「外出……」

ああ、もうこのビルの中にはいないんだ。

せっかく目が合った気がしたのに。あれは……幻だったの?
< 93 / 297 >

この作品をシェア

pagetop