15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
言葉が詰まる。私の挙動不審が目立っていたのかもしれない。

「身分証明書、持ってる?」

びくっとして、思わず鞄に手を入れた。

「えっと……これでいいですか?」

差し出したのは、大学の学生証。警備員は一瞥すると、眉を少しだけひそめた。

「大学生……?どうして、ここに?」

「えっと……知り合いが、この会社にいて……」

「アポはある?」

「……ないです。」

学生証は返してくれたけれど、そこからが長かった。

「知り合いって、誰?」「用件は?」「ここで待っていたのは何分くらい?」「一人?」

質問が次から次へと飛んできて、まるで取り調べのようだった。

私は咄嗟に、「さくら、さくらは……」と後ろを振り返る。けれど、さくらは自販機の方へと離れていた。

まずい……。

焦る気持ちとは裏腹に、警備員の表情は少しずつ硬くなっていく。
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