私のテディベアに、私が溺愛されるまで
莉子は白いワンピースの裾を揺らしながら、楓をじっと観察するように見つめた。

「で? 一朗くん。この子、誰?」

声には笑いが混じっているけれど、好奇心の色が隠せない。

一朗は短く息を吐き、莉子を見た。

「……彼女じゃねぇよ」

「えー? じゃあ何?」

莉子がさらに詰め寄る。
楓は息を飲んで、一朗の横顔を見つめた。

一朗は少しだけ楓を振り返り、それから莉子に向き直った。

「――幼馴染みだよ。妹みたいなもんだ」

その言葉を聞いた瞬間、楓の胸にひやりと冷たいものが走った。

(……妹みたい、か)

分かってはいたけど、切ない。

莉子は「あ~そっかぁ!」とぱちんと手を叩いた。
からかうように笑う莉子の声が、やけに響く。

楓は思わず視線を落とした。
心臓がずしりと重くなり、手のひらがじっとりと汗ばんだ。

(やっぱり、妹にしか見えてないんだ……)

一朗は莉子に笑い返すことなく、ただ黙っていた。
その顔には微かに険しい影が落ちていた。

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