私のテディベアに、私が溺愛されるまで

4

「あれ~? 一朗くん、その子は誰~?」

明るく伸びる声が、二人の間に割って入った。

楓がびくりと振り向くと、そこにいたのは、ふわりとした白いワンピースを着た女性だった。
つやつやの巻き髪に、大きめのピアスが揺れている。
まるで雑誌のモデルみたいに華やかで、場の空気をさらう雰囲気を持っていた。

「さ、佐藤……」

一朗の声が僅かに低くなる。

佐藤莉子――一朗の職場の同僚だと、楓はすぐに気づいた。
以前、一度だけ見かけたことがある。

「もしかして彼女? えー、一朗くんってば隠し事~?」

莉子はいたずらっぽく笑いながら、楓と一朗を交互に見比べた。

一朗は眉をひそめたまま、無言で莉子を睨むように見ていた。

「なによぉ、そんな怖い顔しないでよー! 職場じゃ全然そんな顔しないくせに!」

莉子は楽しそうに笑い、一朗の肩をぽんと叩いた。

楓の胸の奥が、少しずつ冷たくなっていくのを感じた。

(……なんで、一朗とこんなに自然に話してるんだろ)

一朗の隣で笑う莉子が、やけに眩しく見えた。
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