私のテディベアに、私が溺愛されるまで

8

一朗はソファに座ったまま、グラスの底をじっと見つめていた。

右肩には、楓の温もり。

ふと、その肩をわずかに動かしてしまった。

次の瞬間。

「……っ」

楓の身体がぐらりと一朗の方へ倒れ込んできた。

「あ――」

思わず一朗は楓を抱きとめる。

気づいたときには、楓を抱き締める形になっていた。
楓の髪が一朗の首筋にかかり、ほのかに甘い香りが漂う。

そのまま楓は一朗の胸元に顔を埋めたまま、寝息を立てながらぽつりと呟いた。

「……きもちいいなぁ……」

一朗の心臓が、ドクンと大きく脈を打った。

抱き締めている腕に、思った以上に柔らかい感触が伝わる。
鼓動が妙に速くなるのを、一朗は自分でも抑えられなかった。

(……なんで俺、こんなにドキドキしてんだ)

自分でも理由が分からない。
けれど、離したくないと思う気持ちが、確かにそこにあった。
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