私のテディベアに、私が溺愛されるまで

12

日曜の昼下がり。

大学の門の前で、一朗はスマホを握りしめたまま、そわそわと落ち着かない様子だった。

(まさか、デート当日に急ぎの仕事が入るなんてな……)

資料を教授に届けるという急用を片づけ、待ち合わせ場所へ駆けつけると——。

門の前には、数人の男子大学生が群がっていた。

「マジで見た?あの人、やばくね?」
「モデルか?女優か?てか、胸、でか……」
「スカートのスリットえぐ……!」

耳に飛び込んでくる言葉に嫌な予感しかない一朗が、目をやると。

そこには——

めちゃくちゃ気合いを入れた、絶世の美女・楓が立っていた。

長い髪はゆるく巻かれ、艶やかに光っている。

真っ白なオフショルダーのトップスは、大きな胸のラインを際立たせ、ちょっと動くだけで布が揺れて危うい。

さらに、膝下まであるはずのスカートには深いスリットが入り、ちらりと覗く脚に周囲の視線が釘付けになっていた。

「お、おい楓!!」

一朗は慌てて駆け寄り、楓を男子学生たちの視線から隠すように自分の腕を広げた。

「な、なにその格好!!バカかお前! 」

楓はぱちっと瞬きをして、一朗を見上げる。

「え?一朗とのデートなんだから、可愛くしたかったの」

「可愛いどころか……いや、可愛いけど! 可愛いけど!!」

楓は楽しそうに笑い、一朗の腕にぴたりと寄り添った。

一朗は顔を真っ赤にして、周囲を見渡しながら楓を引き寄せる。

「……まず、移動」

男子学生たちはざわざわしながらも、名残惜しそうに楓を見送った。
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