私のテディベアに、私が溺愛されるまで
楓はさっそく一口運ぶ。
「……んっ! おいしいっ!」

目を輝かせる楓を見て、一朗は少し照れたように眉を下げた。

「味、濃くなかったか?」

「ちょうどいい! 一朗の料理、ほんとプロみたいだよね」

「……大げさだ」

楓はにっこり笑いながら、また一口頬張る。

「でもね……」

「ん?」

「なんかさ、今日のご飯、特別な味がする」

「は? どんな味だよ」

楓は箸を置き、両手をテーブルの上で組むと、少し恥ずかしそうに言った。

「……一朗と一緒に食べてるから。だから、特別」

一朗は息を詰めるように黙り込み、視線をそらした。

「……そ、そういうこと平気で言うなよ」

「平気じゃないもん。ドキドキしてるもん」

「……俺も、だよ」

一朗がぼそっと呟くと、楓の頬がみるみる赤くなる。

「ほんと?」

「ああ。……お前が嬉しそうに食ってるの、見てるだけで……なんかもう、胸いっぱいなんだよ」

「……それ、どんな告白?」

楓は嬉しそうに笑って、箸をまた手に取る。

「じゃあ、たくさん食べるね。一朗を胸いっぱいにしてあげる」

「やめろ、言い方がやらしい」

「え~? 別にやらしくないもん」

二人は照れたり笑ったりしながら、湯気立つ料理を食べ進めていった。

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