女王陛下のお婿さま

「いやあ、助かった! 俺も堅苦しいのは苦手で! でも、お会い出来るとは思っていませんでしたよ、陛下」

「どういう事です……?」

 ファビオの言葉がよく分からず、アルベルティーナは眉をしかめた。

「今まで会ってきたお姫様は、俺の振る舞いには大抵腹を立てて、会う事が出来なかった。でも貴方は怒りもせず、自ら会いに来てくれた――流石、その辺の姫君とは違う、女王陛下の器だといった所か」

「……私を、試したのですか?」

 ファビオはその問いには答えずに、肩を竦めただけだった。何だか少しバカにされたような気がして、アルベルティーナはますます眉をしかめてしまった。

「女王陛下になんと失礼な!!」

 アルベルティーナより先に、ファビオに噛みついたのはマイラだった。彼女はファビオの無礼な振る舞いに、ずっと怒っていたから。今の言いように、それがとうとう噴火してしまったようだった。

「おっと、この国は侍女が女王の代わりに怒るのか」

「侍女も女王も関係ありません! 女王陛下を試すだなんて! 失礼にも程があるわ!!」

 ファビオが面白げにニヤニヤしながら見ているせいか、マイラはますますヒートアップしてしまった。アルベルティーナの前にずいと歩み出て、彼を睨み付ける。

「いくら隣国の王子でも、やって良い事と悪い事があるんです! それも分からないようなら、不敬罪で投獄されても文句は言えませんよ!!」

「そこまで言うなら俺も言わせてもらうが! 俺にだって権利があるんだよ!」

「はあ? 権利?! 何の権利ですか!」

「婿に入る先を選ぶ権利だ! いくら九番目の王子だからって、俺は物じゃない! 出来るだけ条件の良い所を選ぶのは当然だろ?! それを見極める為に相手を試して何が不敬罪だ!」

 胸を張って自信満々でそう言い切ったファビオに、アルベルティーナもマイラも、クラウスすら絶句してしまった。

「安心しろ。婿入り先としては、この国も女王も、悪くない」

 とどめの一言に、アルベルティーナはまた吹き出してしまった。

「ごめんなさい、でも可笑しくて……!」
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